JSMO day3続き1

次の教育講演は、東大の畠山先生のピロリの話でした。2014年9月のWHOが「胃癌の約80%はピロリ菌」であるという声明がありましたが、日本人の胃癌の原因は約98%ピロリとのことです。ピロリ菌は棘状の構造で、細胞膜にこの棘をさしてCagAという蛋白を胃上皮の細胞内に打ち込みます。CagAはホスファチジルセリンとaffinityが高いためセリンスレオニンキナーゼのあるPAR1と結合して、もともと極性を保つ性質をもつPAR1を阻害します。そうするとこの極性がとれて周りからisolateされるとのことです。バクテリアにはもともとチロシンキナーゼがないのですが、ヒトの細胞に入り込んだCogAはリン酸化されSHP2と結合します。SHP2は西尾先生のときにも出てきたヌーナン症候群のoncogene driverでもあるようで、結合したSHP2はgain of functionで暴走し、下流のRASあるいはWNTシグナルを送るようです。これがピロリによる癌化のstoryでした。CogAの遺伝子改変マウスを作成して胃癌、大腸癌あるいは白血病になることを示していました。また、CogAの3次元構造解析もしていました。最後にCogAのSNPを調べて、そのSNPの民族別の頻度と胃癌の発生頻度を比較し、東アジアに胃癌が多いという疫学調査と一致することを証明していました。教育講演にしては難しい内容でしたが、私は初めて知ったことがほとんどでとても新鮮でした。

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