先週は私が「Association of Antineoplastic Therapy With Decreased SARS-CoV-2 Infection Rates in Patients With Cancer. JAMA Oncol. 2021 Aug 19」を抄読しました。抗がん薬の中でSARS-CoV-2の受容体であるACE2を減らすものはないかという仮説のもと、基礎研究とコホート研究を報告したものです。実験では1835種類の抗がん薬をACE2高発現の7細胞株(乳癌、悪性黒色腫、前立腺がん、大腸がんなど)に曝露し、ACE2発現の低下と至適薬剤濃度の評価で8つの有望な薬剤を見つけました。mTOR/PI3K阻害薬(everolimus, temsirolimus, alpelisib)、TKI(dasatinib, crizotinib)、代謝拮抗薬(gemcitabine)、DNAメチル化阻害薬(decitabine)、チュブリン阻害薬(cabazitaxel)が良かったです。Memorial Sloan Kettering Cancer Centerでがん薬物療法治療を受けていた1701人のなかでは、これらの8薬剤で治療をしていた215人中15人(7.0%)がCOVID-19に感染し、そのほかの薬剤治療の1486人中191人(12.9%)が感染していました。オッズ比は0.53(95%CI: 0.29-0.88)と有意に感染率は低下しており、とくにgemctabineでのオッズ比は0.42(95%CI: 0.17-0.87)と良好でした。呼吸器系の細胞を使用していないとか、感染を低下させたが入院や低酸素血症、死亡率は両群でかわらなかったとか、limitationも多数ありましたが、translational researchとして面白い内容でした。
COVID-19感染と抗がん薬
2021年8月30日

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