今日は私が、Defective Mismatch Repair and Benefit from Bevacizumab for Colon Cancer: Findings from NSABP C-08J. Natl Cancer Inst;2013;105:989–992.を抄読しました。bevacizumabが免疫監視機構を強化するという論文です。NSABP C-08Jという大腸がんのFOLFOX±bevacizumabの第III相試験で結局negative dataだったものを後解析したものですが、私の知るかぎりbevacizumabのtargetをもっともそれらしいhazard ratio (0.52)で示していました。遺伝子修復機能(mismatch repair:MMR)として、mutL homolog 1 (MLH1)とmutS homolog 2 (MSH2)のどちらか腫瘍組織で陰性のものをMMR陰性 (MMR deficient: dMMR)、他をMMR proficient (pMMR)として予後解析しています。MLH1とMLH2は、DNA MMR欠損を検出する点でマイクロサテライト不安定性の代替マーカーとするbackgroundがありました。dMMRの腫瘍はbevacizumabの併用が生存を延長するという結果で、生存曲線も最初からきれいに分かれていました。なぜ修復機構がbevacizumabと関係するかという仮説ですが、1)dMMRは強い免疫原生を有する。2)微小転移先でdMMR腫瘍は免疫機構から逃れようとする。3)VEGF-Aは腫瘍由来の可溶性蛋白で、骨髄から腫瘍部位へと移動する未熟な骨髄細胞の接着因子であり、樹状細胞の成熟を抑制する。4)VEGF-Aは、腫瘍マウスモデルでVEGFR-2を通して制御性T細胞(CD4+CD25+Treg, Foxp3)を誘導する。5)VEGF-Aをブロックすると、腫瘍マウスモデルで制御性T細胞を抑制する。6)化学療法にbevacizumabを加えると、大腸がん患者の末梢血の制御性T細胞が減少する。–> bevacizumabは、遺伝子異常のある免疫原性の強いdMMR腫瘍に対して、免疫抑制微小環境を叩いているのではないか? という風吹けば桶屋がもうかるという長い話ですが、肺癌でも検証する意義がありそうです。
bevacizumabのtarget
2013年7月5日

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