山根先生が、「PD-1 Blockade in Tumors with Mismatch-Repair Deficiency. N Engl J Med. 2015;372(26):2509-20.」を抄読してくれました。今年のASCOでも話題になった演題です。まずは、基礎免疫学からの講義をしてくれました。クラスIとクラスIIの違いは、T細胞上に存在するどのCD抗原と親和性をもつかであり、クラスIのMHCはキラーT細胞のCD8と親和性があり、クラスIIのMHCはヘルパーT細胞のCD4と親和性があります。多くの腫瘍細胞に特徴的なクラスI分子の発現レベルの低下がNK細胞の活性化を許し、その後腫瘍が崩壊すると考えられています。さて本論文では、ミスマッチ修復遺伝子の欠損による遺伝子変異が多い大腸がんほど、PD-1抗体が効くのではという仮説をもとに始まった研究です。大腸がん33人のうち、PD-1抗体(pembrolizumab)に効果を示したのは1人に過ぎなかったのですが、その1人こそがミスマッチ修復遺伝子の欠損であったということでその仮説を立てたそうです。ミスマッチ修復遺伝子の欠損大腸がんのPFSとOSは、ミスマッチ修復遺伝子のそれらよりいずれも延長していました(PFSのHR 0.10とOSのHR 0.22)。また、ミスマッチ修復遺伝子の欠損では1腫瘍あたり平均1782、ミスマッチ修復遺伝子正常の場合は1腫瘍あたり平均73の遺伝子異常があり、遺伝子異常が多いほどPFSも延長していました。ますます、この世界が面白くなってきています。
PD-1抗体とミスマッチ修復遺伝子
2015年7月11日

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