抗 FcRn 抗体フラグメント製剤

小坂先生が「Phase 2 study of efgartigimod, a novel FcRn antagonist, in adult patients with primary immune thrombocytopenia. Am J Hematol. 2020;95(2):178-187」を抄読しました。ステロイドあるいは免疫抑制薬抵抗性の全身型重症筋無力症に適応があるエフガルチギモドの慢性特発性血小板減少症に対する試験でした。FcRnは主に細胞内に局在し、細胞内に取り込まれたIgG自己抗体を含むIgGとエンドソーム内で結合して、IgGがリソソームに輸送されて分解されるのを抑制し、細胞外に再度放出します。FcRnはIgGの血中濃度を維持しているとのことでした。本薬剤はFcRnに結合し、IgGがFcRnへ結合するのを競合阻害します。FcRnと結合していないIgGはリソソームで分解されます。すなわちエフガルチギモドはIgGのリサイクルを阻害して分解を促進し、IgG自己抗体を含む血中IgG濃度を減少させるということでした。本試験は無作為化第2相試験であり、有意な総IgGの低下、血小板数の増加、出血の減少を示していました。その後の第3相試験(ADVANCE IV)でも有効性が証明されています(Lancet 2023; 402: 1648–59)。この3月に承認されており、難治性ITPの治療薬として期待しています。

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