磯崎先生が、出たばかりの「Transcriptional mechanisms of resistance to anti-PD-1 therapy. Clin Cancer Res. 2017 Feb 13.」を抄読しました。NF-1不活化でドライブされた悪性黒色腫の患者さんが抗PD-1抗体のニボルマブ治療でヘテロなresponseがあり、その26ヵ所の腫瘍を全ゲノム解析したという症例報告です。NF-1欠失はRASを活性化させるのでBRAF阻害薬は効果がありません。この腫瘍にニボルマブを6か月使用して増大した部位は、肺癌ではEMTに関与するlaminin-5のサブユニットをコードするLAMA3遺伝子発現増加がみられました。lamininの過剰発現は腫瘍へ免疫細胞が到達するのを防御しているのではないかと考察していました。CD8浸潤は効果のあった部位もなかった部位も変わらなかったようです。他にも汎白血球マーカーのPTPRCが増悪部位で発現増強しており、好中球の浸潤や活性化の可能性を考えていました。この増悪部位にはFAM183B (neutrophil-associated acyloxyacyl hydrolase)やCXCR2 (IL-8 receptor mediating neutrophil migration)も発現していました。mesenchymal transition、cell adhesion、extracellular matrix remodeling、T cell suppressive inflammation、angiogenesis、およびwound healingが悪性黒色腫の抗PD-1抗体耐性となることが、他の論文で報告されています。肺癌では頻回な生検は難しいですが、そのうちliquid biopsyも高感度、高特異度となり耐性機構の解明が進むと思います。
ニボルマブ耐性遺伝子解析
2017年2月25日

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