J2の野呂先生が「Tranexamic Acid for the Prevention of Blood Loss after Cesarean Delivery. N Engl J Med. 2021 Apr 29;384(17):1623-1634」を抄読しました。トラネキサム酸には抗線溶作用があり、頭蓋外傷の出血などに効果があると言われてますが、帝王切開による分娩後の失血を減少させるというエビデンスは少ないです。フランスの27施設で、妊娠34週以上の単胎もしくは多胎で分娩前または分娩中に帝王切開を予想された女性4551人を、1gトラネキサム酸10mlと生理食塩水10mlに無作為化割付をしました。主要評価項目は、分娩後1000mlを超える(推定)失血と分娩後2日以内の赤血球輸血で、副次評価項目は、失血量、臨床的に重要な分娩後出血、追加の子宮収縮剤の使用、分娩後輸血、2日目の母親の満足度、および2か月の心理状態でした。1000mlを超える推定失血または2日目までに赤血球輸血として定義した分娩後出血は、トラネキサム酸群で26.7%、プラセボ群で31.6%でした(HR: 0.84, p=0.003)。臨床転帰のいずれかの発生率にグループ間の有意差はなく、有害事象は悪心嘔吐がトラネキサム酸群に多かったです(43.0% vs 36.3%, RR: 1.19, p<0.001)。主要評価項目には合致しましたが、臨床的にはトラネキサム酸はあまり意味がなかったとの結論でした。
トランサミンの止血予防
2021年6月11日

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