J2の知元先生が「Benefits and Risks Associated With Continuation of Anti-Tumor Necrosis Factor After 24 Weeks of Pregnancy in Women With Inflammatory Bowel Disease : A Nationwide Emulation Trial. Ann Intern Med. 2022 Oct;175(10):1374-1382」を抄読しました。炎症性腸疾患(IBD)では妊娠中も抗TNFα抗体を継続することで流産や低出生体重児の出産の危険性が低くなるという報告や、逆に抗体は胎盤を通過することが知られているので出生児の免疫力が低下し、感染などを引き起こしやすいという報告があります。フランスでは抗TNFα抗体を使用していた女性が妊娠した場合、妊娠24週で休薬することが多いようです。本試験ではフランスの全国保健データシステム(Système National des Données de Santé)を使用して、24週後の抗体の継続使用が、出生後6カ月までのIBD再発と出生児の5歳までの重症感染症に影響を及ぼすかどうかを調べていました。5293人の妊婦中2890人が24週前に抗体を中止し、2403人が続けていました。継続群と中止群では、母親のIBD再発(35.8% vs. 39.0%)、早産(7.6% vs. 8.9%)、死産 (0.4% vs. 0.2%)、低体重 (13.1% vs. 12.9%)、および児の重症感染症(54.2 vs. 50.2 per 1000 person-year)はいずれも差は認められませんでした。比較試験はできないでしょうから、有用な研究と思います。
TNFα抗体と妊娠
2022年10月20日

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